山口県萩市にある「松下村塾」。
「松下村塾」は幕末期に吉田松陰(1830-1859)が教師として、生徒に勉学をおしえていた私塾です。
2009年(平成21年)に「九州・山口の近代化産業遺産群」の一つとして、世界遺産暫定リストに追加掲載され、2015年(平成27年)に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として正式登録されています。
今回は、維新発祥の地ともいわれる吉田松陰ゆかりの萩「松下村塾」について、詳しく説明します。
維新発祥の地ともいわれる吉田松陰ゆかりの萩「松下村塾」
それでは、維新発祥の地ともいわれる吉田松陰ゆかりの萩「松下村塾」について、詳しく説明していきます。
松下村塾とは?
「松下村塾」は幕末期に吉田松陰(1830-1859)が教師として、生徒を教えていた私塾です。現在は松陰神社の境内に入るかたちとなっています。
天保13年(1842)に松陰の叔父である玉木文之進が自宅で私塾を開いたのが、松下村塾の始まりとされ、後に松陰の外伯父にあたる久保五郎左衛門が、子弟の教育を行っていました。
そして、安政4年(1857)、28歳の松陰がこれを引き継ぎました。
建物は木造瓦葺き平屋建ての小さな建物で、当初からあった8畳の部屋と、後に松陰が増築した4畳半一室、3畳二室、土間一坪、中二階付きの部分から構成されています。
講義室だった8畳の部屋には、松陰の石膏像や肖像画・机なども置いてあります。中に入ることはできません。
松陰は身分や階級にとらわれず、意欲ある者は塾生として受け入れました。
そして、たった1年余りの間に、久坂玄瑞(尊王攘夷派の中心人物)、高杉晋作(奇兵隊創設者)、伊藤博文(初代内閣総理大臣)、山県有朋(3・9代内閣総理大臣)、山田顕義、品川弥二郎など明治維新の原動力となり、のちに明治新政府で活躍した多くの人材を輩出。
名称の由来は、当時この地域が松本村と呼ばれていたことから「松下村塾」という名称がつけられました。
松陰は「死して不朽の見込みあらばいつでも死すべし、生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし」「思想を維持する精神は、狂気でなければならない」などの名言を残し、志ある人材を育てようと教育に力を注ぎました。
しかし、攘夷論者であった松陰は、大老井伊直弼が主導した徳川幕府の「安政の大獄」により江戸へ送られ、その後処刑されました。
享年29歳というあまりにも若すぎる死でしたが、その精神は塾生や地元の人たちに受け継がれ、後に明治維新の原動力となっていきました。
田舎のこんな小さな小屋!?から明治維新が始まったと考えると、教育が生み出すエネルギーの偉大さを改めて思い知らされます。
松下村塾の周辺情報
松下村塾の隣にある松陰神社は、吉田松陰を祭神としている神社で、明治40年(1907)に創建。
現社殿は昭和30年(1955)に建てられ、萩市で学問の神として最も尊敬されている神社なのです。ぜひ、参拝するべき神社ですね。
敷地内には「宝物殿至誠館」や「吉田松陰歴史館」などもあります。
宝物館は無料ゾーンと有料展示室があり、無料ゾーンでは吉田松陰の生涯や萩市内にあるゆかりの地が紹介されています。
有料展示室では、松陰神社に伝わる吉田松陰の書物や遺品類を展示しており、無料ゾーンではミュージアムショップがあり、オリジナルグッズなどが販売されています。
吉田松陰歴史館は吉田松陰の生涯を、ろう人形で再現した展示施設で、リアリティのある内容になっています。こちらは有料で、大人500円、中高生250円、小学生100円、幼児無料です。
このほかには、土産店などもあり、地元名産の萩焼や夏みかんソフトクリームなどを販売しています。あの有名な日本酒「獺祭」もありますよ。
松下村塾への交通アクセス
萩市周辺(山口県)の道路は整備されているので、自動車に限っていえば各方面からのアクセスは良くなっています。
松下村塾へのアクセスは以下の通りです。
- 【自家用車利用】
広島方面より(山陽自動車道経由)・・・防府東インターチェンジより約80分。美祢東ジャンクションより約40分 福岡方面より(中国自動車道経由)・・・美祢東ジャンクションより約40分 。 島根方面より(国道191号線)・・・益田市から約60分。 - 【新幹線利用】新幹線で新山口駅下車。新山口駅から車で約60分。新幹線下車後は、バスかレンタカーが便利。
駐車場は、境内と神社前の交通公園に無料駐車場があります(大型バス等は有料)。
なので、自家用車やレンタカーで行くのもいいですが、地元の「萩循環まぁーるバス」で、萩市役所前発着の西回り「晋作くん」と東回り「松陰先生」の2ルートのバスが、約30分毎に100円で運行しているのでおすすめ。
※松陰神社は東回りルートです。
維新発祥の地ともいわれる吉田松陰ゆかりの萩「松下村塾」まとめ
今回は、維新発祥の地ともいわれる吉田松陰ゆかりの萩「松下村塾」をご紹介しました。
「松下村塾」は松陰が28歳の時に引き継いだ私塾。中に入ることはできませんが、外から中の様子を見学可能。
松陰の石膏像や肖像画・机なども置いてあり、歴史ファンにはたまらないスポットです。
萩に訪れた際には、松陰神社とあわせて訪問してみてはいかがでしょうか?
以下の記事では、元乃隅神社以外の萩や周辺の観光スポット情報を別の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください→萩と周辺のおすすめ観光スポット7選(歴史関連以外)